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2018.09.08

【従業員の医療費を会社が負担した場合の課税関係】

 

 

 

[相談]
私の会社では、従業員の待遇を改善して定着率を向上させるため
従業員が業務外の疾病で医療費を支払った場合に役職等を問わず

その自己負担額の一部(上限10,000円)を会社が負担するという
制度(医療費補助制度)の創設を検討しています。

この制度の運用を実際に開始した場合、会社が負担した医療費は
所得税法上どのように取り扱われるでしょうか。

なお、私が経営している会社は、全国健康保険協会が管掌する
健康保険制度(協会けんぽ)に加入しています。

[回答]

ご相談の場合、医療費補助制度によって会社が負担した医療費の
自己負担額の一部については、所得税法上の見舞金に類するもの
として非課税として取り扱われる可能性が高いものと考えられます。

[解説]

1.「協会けんぽ」と「組合健保」の違い

会社(法人)に勤務する方の多くは、「協会けんぽ」あるいは
「組合健保」のどちらかの健康保険の被保険者となっています。
この2つは名前がよく似ていますが、実は、いくつかの相違点があります。

(1)加入する企業の違い

まず、中小企業を中心に加入しているのが「協会けんぽ」です。
協会けんぽは、全国健康保険協会が運営しています。

一方、「組合健保」は、常時700人以上の従業員が働いている
企業が、自前で健康保険組合を設立したものです
このように、組合健保は、大企業やそのグループ会社
子会社が主に加入しています。

(2)保険料や給付内容の違い

・保険料の違い
協会けんぽの保険料は、全国健康保険協会が都道府県別に料率
を設定します。この料率を、標準月額報酬に乗じて保険料を
計算します。
 
一方、組合健保の場合は、保険料率は3%~13%の範囲で健保組合
ごとに協会けんぽとは別の保険料率を設定して良いこととされて
います。

このため、多くの健保組合では、協会けんぽよりも少し低い
保険料率を設定しています。

・「付加給付」の有無
協会けんぽと組合健保のもう1つの大きな違いは、
組合健保には「付加給付」があるという点です。

業務外の疾病で医療機関を受診した場合、法定の自己負担割合は
協会けんぽ、組合健保ともに原則3割です。

これに加え、組合健保では「付加給付」という健康保険法で
認められている独自の制度があります。

付加給付の内容は各健保組合によって異なりますが
例えばある健保組合では、1か月の自己負担額の上限が20,000円
とされています。

つまり、医療費がどれだけかかったとしても、その健保組合の
加入者の自己負担額は、一か月20,000円までなのです。

医療費の自己負担額の上限が決まっていれば、個人で
生命保険会社の医療保険に加入する必要性は非常に低くなり、
家計支出はかなり少なくなるでしょう。

このように、自分が勤務する会社の規模等によって
健康保険から受けられる給付の額が大きく異なることが
あるのです。

2.付加給付への所得税の課税関係

上記1.の内容からすると、健保組合の被保険者は、付加給付に
よって協会けんぽの被保険者より多くの経済的利益を受けられる
のだから、

組合健保の被保険者は付加給付を受けた部分について所得税を
課税されるのではないか、という疑問が生じるかもしれません。

しかし、健康保険法では、租税その他の公課は、保険給付として
支給を受けた金品を標準として課することができないと
定められています。

付加給付は健康保険法で認められた保険給付の一つですので
上記の定めにより、付加給付に対して所得税は一切課税されません。

3.会社独自の医療費補助制度についての課税関係

今回のご相談の医療費補助制度と健保組合の付加給付はいずれも
被保険者の医療費を支出したことによる経済的負担を軽減させる

目的で給付されるものと解せられますので、
この点において両者の差異は認められません。

さらに、ご相談の医療費補助制度については

①会社での役職等を問わず、従業員の医療費負担の状況に応じて
 その給付額が定められること、
②支給限度額が10,000円とされており、社会通念上多額な負担と
 まではいえない、と考えられます。

したがって、ご相談の医療費補助制度による給付については
勤務等の対価(給与)である性質よりも、業務外の疾病によって
医療費負担を余儀なくされた従業員について支給する
いわゆる見舞金としての性格が強いものといえます。

よって、ご相談の医療費補助制度については
所得税法上の見舞金に類するものとして非課税として
取り扱われる可能性が高いものと考えられます。

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